この前も書いた、ギャビー・モレーノとヴァン・ダイク・パークスの去年(2019年)のディスクの1曲目、「Across The Borderline」。
これは80年代終わり頃のライ・クーダーのアルバム「Get Rhythm」の最後から2曲目に収録されている。そのアルバムのハイライトだったのだろう。
僕はこのアルバムを持っていたのに、この曲の良さに全然気づいていなかった。
途中からジャクソン・ブラウンが歌で入ってくる。ギャビーをじっと見つめたりして、この色男! コロナ、治ってよかったね。
ギャビーの北米だけでない南米中米をも取り込んだ歌が素晴らしいのはもちろんだけど、泣かせるメロディの後ろに速い下降のストリングスを当てて違和感を持たせたりするヴァン・ダイクの編曲がそこに変わった色付けをしていて、それがアメリカ的に聴こえるのは不思議だ。泣きのメロディをさらに泣かせようとしてくる編曲って実は泣けない。美しいメロディと、後ろはそうではなく動いているのって、逆説的だけど、それだけで美しさが倍増されて泣けてくることもある。ヴァン・ダイクはそれを軽々とやってのける。とんでもない才能だ。
YouTube、もう一回載せとく。
聴いてすぐに、これを編曲しておかなければ、と思い立つ。
でも、ヴァン・ダイクの編曲を写し取ることは無理な話なので、自分の中のアメリカを思って編曲する。
この曲の「ボーダーライン」っていうのは国境線のことだ。
「自分の思いを捨てるには、もう遅すぎる。」という歌詞が胸を打つ。
もう超えるしかないのだ。自分の中の国境線を。
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