ペルーの小説家、バルガス・リョサの「緑の家」を読んだ。
ラテンアメリカの文学が面白い、とは聞いていたけど、この前に読んだ「密林の語り部」といい、ガルシア・マルケス(コロンビアの作家)の「エレンディラ」「予告された殺人の記録」など、なぜ今まで読んでいなかったのかと思うくらい面白いものが多い。
「緑の家」とは、あるハープ弾きが建てた娼窟の名前。複数の物語(5つくらいある)が、少しづつ語られて、それも時系列を無視して語られるので、上巻の終わり頃までは、よくわからないままに進む。それでも、次どうなるのかを知りたい為にどんどん読み進む。
下巻の最後の方になってようやく全体像が見えてくる。
裕福な白人と貧しい白人、強盗を繰り返す日本人、娼窟で働く人、楽団員、聖職者、医者、密林で育った人それぞれの物語が時には交わり合いながら、厳しい現実を淡々と描写する。それだけに、途中の結婚式の場面は涙するほど美しく描かれている。
最後は、ある人の死によって、「緑」の意味、憎しみの緩和が連想されるようになっている。
なかなか感動的なのだ。いい映画を観ているようだった。
他のラテンアメリカの作家も読んでみたい。
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